FC2ブログ

晴耕雨読

淡々と日々の暮らしを立てるために働き続け、木々の緑、雨音、枯れ枝に架かる雪を密かに楽しむ。 老いては老いを楽しみ、若者の成長に目を細め、良い人生だったと感謝しつつ旅立つ。 こんな当たり前の人生が許されない世にはして欲しくありません。

農業法概要ト稲ノ栽培 

本県ノ民族ハ、太古ヨリ農耕ノ術ヲ知リ、之ヲ生業トシタルコト明カナリ。從ッテ田ニハ稲ヲ植ヘ畑ニハ大小麦・大小豆・粟・稗及蔬菜類ヲ栽培シ、又、楮・麻・其他特用作物ヲ植エテ衣食ノ料トセリ。但シ、肉ヲ食シ乳ヲ飲ム等ノ風ハナカリキ。現在ニ於テモ肉食セザル風ノ有スルハ、久シキ旧慣ノ然ラシムル所カ。
 然ルニ米ハ上下一般ノ常食ナカリシバ、栽培ニハ最モ力ヲ盡シ、諸所ニ稲田灌漑ノ為多クノ池溝ヲ開セラレタルハ、其ノ事実明カナリ。
 麦菽其他作物ニアリテハ、人口戸数ノ増加ニ伴ヒ、山林原野ヲ開拓シテ栽培区域ヲ擴張セルモノナリ。
 サレバ、稲ノ栽培大要次ノ如シ。
人気blogランキングへ  一、撰 種
 撰種ハ、古来、唐箕撰ノミナリシガ、明治参拾年頃ヨリ塩水撰法ヲ行フニ至ル。其ノ比重左ノ如シ。
 有芒種ハ水一斗ニ付キ食塩九百五拾匁位
 無芒種ハ水一斗ニ付キ食塩一メ二百匁位
 二、浸種及播種期
 浸種ハ、古来、長期間浸種シタルモ、現時ハ七日及至十日間ヲ適當トシ、尚浸種シタル種子ハ、微温湯ニ入レ、發芽ヲ促シ、芽ノ一分内外ニ伸長シタルヲ播下スヲ通例トス。之ヲ芽出播ト云フ。四月二十日頃一坪五六合ヲ播下ス。
 三、苗代ノ整理
 苗代ハ、温暖ニシテ肥沃ニ、且ツ汚水ノ侵入セザル場所ヲ選定シ、秋期耕鋤シ、翌春播種期ニ近ツキ、細耙シテ肥料ヲ施シ、播種ノ準備ヲナス。播種ハ、当局ハ短冊苗代ヲ奨励スレドモ、概ネ行ハレザルモノ多シ。
 四、苗代ノ灌漑及苗代ノ害虫
 播種ノ翌日ヨリ降雨等ノアラザル限リ、毎朝、苗代ノ水ヲ排除シ夕刻ニ至リ灌漑スルコト約三四週之ヲ行フ。以后ハ、常ニ浅ク灌水シ置クヲ通例トス。俗ニ之ヲ實干シト云フ。
 苗代ニハ、往々、稲蚯蚓及泥負虫ノ發生ヲ見ルコトアリ。稲蚯蚓ハ輓近石灰窒素ヲ使用シテ駆除スルモノアリ。其ノ効ヲ奏スルコト著シ。泥負虫ハ毎朝掃去スルヲ通例トス。「ユリミミズ」ハ近年其ノ發生著シク、農民、駆除ニ腐心シツツアリ。前記石灰窒素ハ、効アリト雖モ、比較的高價ニシテ、且又施用法ヲ誤ルノ憂アリテ、一般ニハ行ハレズ。其ノミミズノ被害少ナカラズ。
 五、本田ノ整地
 本田ハ、春期即チ四月下旬及至五月上旬ニ行フ。其ノ方法ハ人力ニ依リ、三鍬ヲ以テ一人一日五畝歩位ヲ耕鋤スルヲ通例トスレ共、明治二十年頃ヨリ、和製担持立犂ヲ使用シ、馬耕ヲ以テ一人一馬ニテ二反歩余ヲ耕耘スルコト、難カラズ。故ニ労力ヲ節減スル其大ナリトス。而シテ、耕起シタル田ハ、五月中旬及至下旬ニ至リ、更ニ細耕シテ肥料ヲ施シ、二回以上、馬耙ニテ代掻ヲ行ヒ、挿秧ノ準備ヲナスヲ通例トス。
 六、肥 料
 明治初年迄ハ、金肥ヲ用フル者ナク、厩肥及自家ノ糞尿並ニ藁稈糅糠位ニテ作付シ来タリシガ、近年、大豆粕・魚粕・過燐酸石灰等ノ金肥ヲ用フルニ至ル。其ノ施肥標準、左ノ如シ。
 厩   肥  三百〆
 人 糞 尿  六千〆
 大 豆 粕  十〆(又ハ魚粕十〆)
 過燐酸石灰  五〆
 七、挿 秧
 挿秧ハ、六月十日前后ヲ最好期トス。一坪五十六株及至七十二株ヲ植ヘ、一株ノ数ヲ四・五本位トス。概シテ廻リ植ヲ通例トスレ共、定木植及密植法等ヲナスモノ、年々増加スル傾向アリ。
 八、本田潅漑除草
 移植期ヨリ出穂期マデ、一寸内外ノ深サトシ、出穂期ヨリ穂揃期マデ二寸内外ノ深サトシ、穂揃后(秋彼岸前)落水ス。
 除草ハ、三回ヲ標準トシ、夏土用中ニ結丁スルヲ通例トス。明治三十五、六年頃ヨリ、一番除草ニ雁爪ヲ用フル者アリ。
 九、本田ノ病虫害
 病害ニハ稲熱病多ク、害虫ニハ螟虫多シ。稲熱病ノ予防ハ、肥料ノ配合ニ注意シ、窒素ノ偏頗ヲ避ケ、水ノ潅排ニ注意シ、病熱盛ナル時、全ク排水シテ田土ノ乾燥ヲナス。螟虫ノ駆除法ハ、苗代並本田ノ於テ、誘蛾灯ニテ母蛾ヲ誘殺シ、被害茎ヲ除去スルニアリ。
 十、収穫、乾燥、調製
 本県ハ總ジテ収穫期ヲ失スル幣アリ。黄熟期ニ達シ、約二三週間ヲ過ギ刈取ルヲ通例トス。刈取リタル稲ハ、直ニ畦畔ニ逆立シ、藁桿ノ乾燥ヲ待ッテ本鳰トナシ、穂先乾燥セバ、直ニ脱穀シ、然ル后調製スルヲ通例トス。
 十一、本村内ニ裁植セラルル稲ノ品種
 粳種
  大丈白稲  小丈白稲  阿部稲   亀ノ尾   関山    赤子
  元禄    浚豊後   水山元禄  青桿元禄  中村黒子  南部赤子
  餓死不知  倉塞    金華山   大崎    二合半   紫
  若松    会津豊後  秋田豊後  弘前豊後  最上豊後  牛豊後
  二十日早生 刈生号   朝照    国照    富國    鶴亀
  短穂    福嶋    稲妻豊後  五百成   赤谷風   黒谷風
  婦夫    三百成   金将若松  世直シ   近江豊後  豊國
  仙台坊子  千葉錦   細坊子   赤豊後   八重成   大村
  七村    鳥海山   伊十郎   廉角早生  早生愛国  五郎兵衛
  長者豊後  雀豊後
 糯種
  大黒糯   小弁慶糯  秋田糯   清水不知糯 黄金糯   鈴木糯
  シナミ糯  姫鶴糯   天畏糯   白稲糯   赤糯    鉈載糯
  句糯    萬作糯   倉寒糯   目ノ下糯
 十二、標準種
 大正三年、岩手縣農事試験場ニ於テハ、多年研究ノ結果、西磐井郡ニ栽培スベキ稲ノ品種虫最モ適當ナルモノヲ撰ビ、其ノ標準種ヲ示サレタリ。
 稲(粳)
  関山    餓死不知  二十日早生 紫     女夫    金華山
  元禄    浚豊後   短穂


註1:「匁」 目 〆
唐代の通貨「開元通宝」は宋代に受け継がれ貨幣「銭」を生み、これが日本でも流通する。重さの正確で庶民にまで普及していた通貨「銭」の1枚の重さが目方の単位として、秤に刻まれ使用された。
「匁」は諸説有るが、「銭」の旁から変化した文字であるとされる。
  毛 = 貫の100万分の1 = 0.000001貫 = 0.001匁
  厘 = 貫の 10万分の1 = 0.00001 貫 = 0.01 匁
  分 = 貫の 1万分の1 = 0.0001 貫 = 0.1 匁
  匁 = 貫の1000分の1 = 0.001 貫 = 3.75 「グラム」
  貫 = 15/4「キログラム」 = 3.75「キログラム」 = 1000 匁
 此の外,160匁(600グラム)を斤と言う。
 貫の代わりに貫目又、〆と表記することがあり、匁の代わりに目ということもある。1の位が0の時は通例目という。例えば,20目、100目等。1の位に有効数字がある場合には,必ず匁という。例えば,1匁、12匁
スポンサーサイト



[ 2005/11/30 19:34 ] 地域の歴史 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

早雲

Author:早雲
常識を疑う事から見えてくる「近代」の陥穽

最近のトラックバック
月別アーカイブ
フリーエリア
ブロとも申請フォーム